「市役所の分権と集中」岐阜県多治見市

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1.「分権と集中」とは

  行政の施策の効率的運営のために、
  ・組織としての意思統一のために「集中」を図る。
  ・政策の達成方法として、各部署の自由裁量を広げ「分権」を図る。
  ということである。
  H13年度に「財政改革指針」を発表、ここで定められた方針である。

2.集中

  H12〜21年度の第5次総合計画。これを市政の中心に据える。
  これに基づき実行計画を策定、毎年度、担当部課と翌年度の政策について
 次の手法により意思統一を図ることとしている。
  ・「多治見市部課別施策体系及び懸案事項」(施策マトリックス)
  ・行革実行計画書
  ・目標管理の設定(ここで前述目標管理制度とリンク)
  ・政策形成ヒアリング
  ・各課重点施策市長ヒアリング
 重要事項について、意思統一を図るために次のような系統が組まれる。
  ・政策的事項  基本方針は「木曜会議」にて決定
          (2週に1回、4役、企画・財政・法制・総務部長)
          その後調整会議(各部に置かれた調整担当課)
          政策会議(部長以上)で議論がなされる。
  ・周知連絡事項 調整会議・政策会議にて報告がなされる。
 上記議論内容や報告事項はメールにて各課長へ、各課長から課員へ。
 木曜の木曜会議→翌週木曜に調整会議→翌週月曜に政策会議 という流れ。

3.分権
 
 ・H10年度からグループ制導入
   部内人事配置権を所管部長に付与。
   課内では目標達成のために各係の壁を取り払い、課長の裁量で仕事の配
   分を自由に配分できることとした。
   課長補佐はいない。
   リーダーの選定も年齢に関係なく課長が決めることができる。
 ・予算編成時の枠配分
   一般財源については各部に枠配分、部長の権限・責任で予算を決定。
   説明責任は各部。
   人件費は別枠、残業手当も事実上の枠配分とした。 
 

4.感想

  まず、前述「目標管理制度」の項目に参考2として付した、多治見市の行
 政改革、市役所改革の経緯を一覧し、平成8年度の「非常事態」宣言が名の
 みのものでなく、行動と実績を伴うものとなっている事実に、驚愕の思いで
 した。矢継ぎ早に改革案が出され、それが次々と実行に移されているその形
 跡をたどると、痛快ささえ覚えます。
  今回の視察での担当者にお聞きすると、それは決していわゆる「トップダ
 ウン」方式でなされたものではない、とのことでした。してみれば、財政逼
 迫への危機意識と、同時にこれを乗り越えようとする職員、なかんずくマネ
 ジメントを担う幹部職員の手腕と行動力が、ここから如実に感じ取れると思
 います。
  「分権」と「集中」という、一見、相反する言葉は、説明を伺ってなるほ
 ど、これからの市政のあり方に必要なふたつの方向性であり、例えば枠配分
 の予算編成方針を導入するにしても、庁内の意思統一へのしっかりしたシス
 テムなしにこれを実行すると、部と部との間の落差や不公平も生じ、両者あ
 いまって始めて効果を生じるものであるということがよく理解できます。特
 にトップから課員までが一定のルールにより情報を共有し、ひとつの方向に
 ぶれることなく進んでいけるというしくみは、どこに綻びが生じてもならな
 い、大切なシステムであろうと想像できます。そこに、前述の目標管理制度
 と人事評価制度が絡み、部長のマネジメント力発揮の下で、ダイナミックな
 展開がなされているというイメージを抱きました。
  行財政改革という言葉が実感を伴わず、古(いにしえ)からの唱え文句の
 ように響いているままでは、財政破綻も避けられない、との心配を強く抱き
 ます。是非とも今回の、私どもの視察内容を定例議会のみならず理事者の皆
 さんにもお伝えし、参考にしていただいて、わが丸亀市の改革に資していた
 だきたいと念じてやみません。

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